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産学連携しバッグ制作 キタムラと横浜国立大

経済 | 神奈川新聞 | 2017年9月22日(金) 02:00

ドーナツ型のハンドバッグを手にするキタムラの広報担当主任・辻桜さん(右)と、形状処理工学の研究を続ける前川卓教授 =横浜市保土ケ谷区
ドーナツ型のハンドバッグを手にするキタムラの広報担当主任・辻桜さん(右)と、形状処理工学の研究を続ける前川卓教授 =横浜市保土ケ谷区

 横浜・元町の老舗革製品メーカー「キタムラ」(横浜市中区)と横浜国立大学は、工業製品の開発や設計などをデジタルデータを使って行う「デジタルエンジニアリング」の新たな手法で、ドーナツ型のハンドバッグを共同制作した。サンプル品として作られ、両者はノウハウを商品開発や研究に今後、役立てる。

 バッグは縦横34センチ、マチ21センチで、「サイクライド」と呼ばれる曲面を再現。立体を構成する曲率線をコンピューターで計算し、2種類の展開図(設計図)に落とし込んだ上で、短冊状に裁断した牛革を編み込んで立体に仕上げた。形状処理工学が専門の前川卓教授(同大学大学院工学研究院)の研究室が開発した手法を用いた。

 牛革同士を直角に交わるように編み込み、あらゆる方向からの力に強い曲面を実現した。同手法を広めようと、大学側が横浜企業経営支援財団(IDEC)に相談し、キタムラとの産学連携が実現したという。

 バッグには、「横浜らしさ」(キタムラ)を表現してブルーとホワイトの牛革を使用。短冊状の44枚を編み込み、端を縫い合わせて仕上げた。持ち手の内側部分に金属板を入れて形崩れを防ぎ、内側にポケットを備えている。編み込む工程などは前川研究室の学生、縫製などはキタムラの職人が手掛けた。

 前川教授は自動車の車体や新幹線の先頭部、船舶などのような複雑な曲面のある構造物の形状をコンピューターで再現し、強度を持たせながら効率良く制作する方法を研究する。「(説明や制作が)難しい技術だが、広く目に触れてもらうことで、活用可能性の広がりに期待している」と大学側。

 キタムラは今後、使用感や耐久性などを検証。商品化の予定はないが、現在制作中の2個目の品とともにキタムラ元町本店(中区)で今秋、展示する予定だ。同社は「産学連携の成果を披露しながら、長年培った(職人の)技術力をアピールしたい」と話している。

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