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AI新技術、医療や金融に活用期待 富士通研究所が18年度実用化目指す

経済 | 神奈川新聞 | 2017年9月21日(木) 11:44

AIの新技術などを発表した富士通研究所の研究開発戦略説明会=川崎市中原区
AIの新技術などを発表した富士通研究所の研究開発戦略説明会=川崎市中原区

 富士通グループの富士通研究所(川崎市中原区)は20日、人工知能(AI)が導き出した結果の根拠や理由を説明できたり、高度な情報処理が可能な量子技術を利用してさまざまな選択肢から最良の答えを瞬時に選び出したりする新技術の開発状況を説明した。ともに、2018年度中の実用化を目指しており、医療や金融など多様な分野での活用が期待される。

 現在のAI技術の進展では、データの特徴を繰り返し学習させて認識や分類を蓄積する深層学習(ディープラーニング)の役割が大きい。一方で、深層学習の場合、人が学習過程を検証するのは困難で、同研究所AI研究所の岡本青史所長代理は「このブラックボックスを解決し、人が信頼できるAIでなければ社会での活用は進まない」と指摘。こうした問題意識をもとに「説明可能なAI」の開発を進めてきた。

 開発中のAI技術では、深層学習をベースにつながりを示すグラフデータを学習できる独自システムと、それを体系化して理解・分析できるデータベース機能を融合。AIが出した推定結果の理由と根拠を出力できるようにした。すでに、遺伝子の変異から疾患に至る原因を特定するゲノム(全遺伝情報)医療への応用などで、実用化が進んでいる。

 同研究所は、多様な組み合わせから、最適な解答を瞬時に導き出すための新技術も発表した。高度な情報処理が可能な量子技術から着想を得て同研究所が開発した、デジタル回路で組み合わせの最適化問題を高速で解く計算機システムを応用。パラメーターと呼ばれる設定値を自動制御する回路を組み込み、複雑な設定なしに精度の高い解答を導き出すことを可能にした。従来、システム活用の準備期間には2週間程度を要したが、1日未満まで短縮できることも確認。金融分野でのリスクを最小化する分散投資の配分決定や、新素材開発や創薬などにつなげるための分子発見などへの応用を視野に入れる。

 この分野では、知見のあるカナダ・トロント大学との連携を強化するほか、トロントに新研究センターを設立する。

 同研究所の佐々木繁社長は同日、川崎市中原区の本社で開いた研究開発戦略の説明会で、AIや量子コンピューター分野の成長の可能性を説明し、「先端技術開発で富士通グループをけん引していく」と強調した。同研究所の年間予算規模は約300億円。国内では川崎、厚木両市を拠点に約1200人、海外では米国、中国、欧州で約230人が研究開発などに励んでいる。

 
 

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