「大きな傾向として二極化の流れは変わっていない」。そう話すのは、19日に基準地価を公表した県政策局の担当者。住宅地の平均変動率は横浜など大都市が上昇基調を維持した一方、人口減少などが進む郊外や地方のマイナスが続いた。
県内の不動産市場の動向に詳しい浜銀総合研究所の湯口勉上席主任研究員も「高齢化や人口減少の傾向が今後も続くので、郊外は土地利用の促進を図る取り組みを強化しない限り、これからも苦境が続くだろう」と説明した。
その上で、プラスだった横浜や川崎など大都市についても、「緩やかながら景気は拡大し、低金利の環境も続いている中、従来の上昇局面ならもっと上昇していいところ。上がるところと、伸び悩むところとのまだら模様も出てきており、大都市の中での選別も進むと思う」と話した。実際、横浜市では西部、南部の丘陵地のエリアなどで上昇率が縮小。区別では、昨年は微増だった旭区が市内で唯一、横ばいに転じた。
地方の苦境も色濃い。県内下落率トップの地点が市域から出た三浦市は、空き家の所有者から登録の申し込みがあった物件を市のホームページで公開し、利用希望者を募る「空き家バンク」制度など、人口増につなげるべく努める。だが、改善の道筋は見いだせていないのが実情だ。
担当者は地価下落が続く現状について「少子高齢化や人口減少の進行、交通利便性の悪さもあり、下落はやむを得ない面もある。新しい住民を呼び込むべく取り組んできているが、回復がみられないのが残念」と話した。
商業地についても楽観は許されない状況という。湯口上席主任研究員は「何とか上昇を維持しているが、伸び方が緩やかで、経済の低成長が反映されている。県経済の中長期的成長に対する企業などの期待が高まるような取り組みが必要なのではないか」と話した。