
底冷えする寒さとなった1月25日。すてきナイスグループ(横浜市鶴見区)が主催した恒例の新年会には1700人余りが詰め掛け、東京・高輪のホテル会場は活況を呈した。
創業家の2代目として権勢を振るった平田恒一郎容疑者(71)=金融商品取引法違反容疑で逮捕=は、財界の有力者としても幅広いネットワークを構築していた。新年会には毎年、各界の著名人が登壇者として名を連ねた。
昨夏に逝去した父親の周次氏も、多方面で大きな存在感を放った人物だった。「お別れの会」には県内選出の衆院議員をはじめ2千人以上が参列し、故人をしのんだ。
周次氏は戦後間もない1950年、木材市場の運営会社を起こした。73年に東証1部上場を果たすと、平田容疑者と二人三脚で業容を拡大し、建築資材の流通業界では指折りの企業に育て上げた。
経営を支える2本目の柱に据えられたのは、マンション分譲が主軸の住宅事業だった。近年、すてきナイスの売上高の7割を祖業の建築資材事業が占めているが、それを上回る営業利益をたたき出す「稼ぎ頭」に成長した。
しかし、リーマン・ショックを機にマンション事業を取り巻く環境が急激に悪化。あおりを受けたすてきナイスは、2009年3月期決算で121億円もの最終赤字を計上した。住宅と建築資材の部門ごとの営業利益は13年3月期に逆転し、以降も水をあけられた状態が続く。
平田容疑者は、より堅実な路線へと経営のかじを切ることになる。
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マンションから一戸建てへ-。