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【10%ショック 消費税を問う】(下) 
景気を圧迫 「後退局面」の入り口

経済 | 神奈川新聞 | 2019年7月19日(金) 19:00

 県内の自動車販売店担当者は、迫る10%の衝撃に恐々としていた。

 「無風だ。前回の増税時に吹いたような駆け込み需要の追い風は全くない」

 人気の車種は納車まで数カ月先になるため、そろそろ購入の契約をしないと増税後の登録となってしまうが、いまだに受注台数は前年並みが続いているという。

 車も減税措置の対象となっているが車種によって異なり、複雑なため顧客に「来店して詳しく聞いてください」と呼び掛けているが、「数字に結び付いていない」。

 楽観的に捉えれば「駆け込み」が少ない分、増税後の反動減も軽い、とみることもできる。だが果たしてそうなるか。

縮小の引き金は


 「1997年」。多くのアナリストや経済学者が、「日本経済の分岐点」として挙げるこの年、消費税は3%から5%へ引き上げられた。

 今回と同じ「2%の増税」だったが、500万~600万台前後あった日本の新車販売台数(登録車)はこの増税を引き金に、年間400万台前後へと一気に落ち込み、さらに2005年から総崩れを起こした。いまや1990年のピーク時(597万5千台)から半減近い334万8千台にまで落ち込んでいる。

 わずかな駆け込み需要しかなく、そして襲い掛かった圧倒的な反動減、元に戻らぬ縮小市場-。

 日本の消費はこの時を分岐点にがくりと腰折れし、戻っていない。

 この時、何があったのか。

 マクロ経済に詳しい浜銀総合研究所の遠藤裕基主任研究員はこう指摘する。

 「1997年はバブル崩壊後の金融危機が顕在化した年で、国内景気が悪かった。加えて世界経済全体も停滞し、内需と外需が総崩れ状態だったのです」

 景気は数々の要因が複雑に絡み合って好不況の循環を繰り返している。世界経済が低迷していても、国内が盤石であれば持ちこたえる。逆も同じ構図で、2014年の5%から8%への増税時は国内景気が悪かったが、世界経済が好調だったので下支えが利いた。

 
 

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