川崎市高津区の塗装会社が、ドローンを活用して屋根の破損などを無料点検する試みを始めた。昨年の台風被害を機に、迅速で安全な確認作業を進める手段として着目。社長は「これから台風の時期を迎える。不安な人は相談してほしい」と話している。
「ブーン」。ミツバチのような音をたて、小型のドローンが3階建て住宅の屋根に飛び立っていった。池田塗装の池田聡社長(44)の横で、代表親方の下條孝次さん(44)がリモコンで巧みに操縦し、人間が登ることが難しい箇所の写真を撮影していく。画像はリモコンに設置されたスマートフォンでリアルタイムに確認できる。
住宅の外装・外壁工事を手掛ける同社がドローンを導入したのは今年3月。2台のドローンを使用し、従業員14人のうち、池田社長を含む3人がライセンスを持って操作を担う。国土交通省への許可申請のほか、飛行禁止エリアでないかを確認した上で、点検や補修作業の事前チェックなどに活用している。
導入の契機は昨年10月の台風24号。暴風被害が県内でも相次ぎ、屋根が飛ぶなどの住宅被害は740棟以上となった。「台風後、100件近くの問い合わせがあり、従業員総出で対応したが、調査だけで1カ月もかかった」と池田社長。全ての補修を終えたのは今年1月だったという。
熊本地震などの復興活動でドローンが活用されているのをニュースで知っていた池田社長は、自分たちの仕事にも応用できると導入を決めた。池田社長は「点検は無料で行っている。台風の時期を前に心配な人は相談してほしい」と呼び掛けている。