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千代田化工建設・山東理二社長 技術力で新分野挑戦

経済 | 神奈川新聞 | 2017年8月31日(木) 12:38

千代田化工建設・山東社長
千代田化工建設・山東社長

 資源価格の低迷で、主力のLNG(液化天然ガス)案件で当面の受注環境が厳しいプラント大手の千代田化工建設(横浜市西区)。6月末に最大株主の三菱商事出身で初めて、かじ取りを任された山東理二社長は、中核のエネルギー事業を深掘りするとともに、環境分野にもウイングを広げて難局を乗り切る決意だ。その戦略や将来像を聞いた。

 -現状認識と抱負は。

 「受注、完工高ともLNGプラントが中核だが、足元でLNGは供給過多とされ、新規の投資決定が先延ばしされている状況だ。今後、原油やガス価格はそれほど上昇しない前提で物事を考える必要がある。既存のビジネスモデルが曲がり角にある中、新たな成長に向かって確かな方向性を打ち出すのが私の使命だ」

 -新中期経営計画では、環境分野への事業領域拡大やプラントの保有・運営による収益伸長策を掲げた。

 「新エネルギー、ライフサイエンスなど千代田の技術力を生かせる広い意味での環境事業だ。電力供給一つ取っても、発電プラントに独自の蓄電やクリーンな水素技術を組み合わせて提供するなど、システム全体のインテグレーション(有機的統合)で勝負する。横浜・子安の研究開発施設ではiPS細胞(人工多能性幹細胞)の操作研究を重ねており、付加価値の高い再生医療分野にも注力する」

 「エネルギープラントのEPC(設計・調達・建設)は引き続き中核だ。これまでは建てたプラントを顧客に引き渡して完結だったが、それだけでは収益に奥行きがない。信用力ある顧客との長期契約を前提に、ノウハウのあるパートナーと組んで、浮体式プラントなどの保有・運営を通してオイルやガスを供給するビジネスモデルを構築していく」

 -前期は海洋ガス油田の海中・海底工事を行うために設立した合弁会社の経営悪化を主因に、16年ぶりの最終赤字となった。

 「事業投資に関し、アクセルとブレーキのバランスをしっかり取ることが教訓だ。リスクマネジメントの強化は新中計の柱で、来春の組織見直しでリスク回避に目を光らせ、必要ならブレーキ役を果たす社内機構を整備する」

 「反省すべきは反省する。その上で、千代田は新分野に切り込んでいく財務的体力もあるし、世界に冠たる技術力を持った企業として広く認知されてもいる。就任後、14回もの社員との対話集会を重ねてきたが、『自信を持とう。小さくまとまる必要は全くない』と伝えている。社内の危機感を新たな挑戦のエネルギーに生かしたい」

 -損失を出した海中・海底事業の今後は。

 「まず、われわれが投資した合弁会社は、英国の海洋工事会社サブシー7の完全子会社になり、千代田のリスクはゼロだ。この分野ではサブシー7と協業の可能性を年内いっぱい協議するが、現状は全くの白紙。店じまいから、プロジェクトに応じた部分的な提携まで考えられる。ただし、(この分野に進出した当時と)事業環境は明確に変わったと認識しており、巨額投資の考えは毛頭ない」
 

さんとう・まさじ 1981年三菱商事入社。チリ三菱商事社長、執行役員など歴任。2013年、千代田化工建設取締役。副社長執行役員を経て、17年6月から現職。好きな言葉は「指揮官先頭」。趣味はウオーキング。東大法卒。和歌山県出身。59歳

 
 

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