横浜青年会議所(JC、森大樹理事長)とベンチャー企業のTBM(東京・銀座、山崎敦義社長)は、石灰石を主原料にした同社の新しい紙「LIMEX(ライメックス)」製の名刺などを普及させることで、持続可能な開発に貢献するための基本合意書を交わした。普通の紙と異なり原料に木や水を使わない。同会議所会員や市内企業、経済団体などに働き掛けて、名刺を普及させる。
山崎社長によると、ライメックスは石灰石とポリオレフィンと呼ばれる樹脂が主原料で、炭酸カルシウムのごみ収集袋に近い成分。このため木を使わず、水も不要。石灰石は国内にも豊富に存在し100%まかなえるという。同社の試算では、世界の紙の5%がライメックスに置き換わると、約2億2千万人分の生活に必要な水を節約できるという。
台湾の企業が開発した技術を元に、TBMが新たな製品として自社開発。2013年に経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業の「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」を受けるなどして、開発・製造拠点を宮城県白石市に設置。昨年から名刺などの販売を始めた。「価格は通常の紙の名刺と同じ。昨年度の売り上げは1億円弱」(山崎社長)という。
これまでに大手回転ずしチェーン「スシロー」のメニュー表にも採用された。撥水(はっすい)性があり、ラミネートせずに使えるという。昨年11月には凸版印刷と共同開発の基本合意を交わした。プラスチックの代替品としても使え、クリアファイルや食品容器の開発も行っている。
横浜青年会議所の森理事長は、「15年に国連加盟国が採択した『持続可能な開発のための2030アジェンダ』を達成するために、ライメックスを用いた循環型社会課題解決プログラムをスタートする。会議所が多くの企業にライメックスの名刺を売り込み、販売手数料を子どもたちのワークショップに活用するなど社会還元したい」と説明。水を大切にする活動として「AQUACTION(アクアクション)」と名付けた取り組みとして展開していく考えだ。