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ナノフュエルが新精製装置
バイオ燃料低コストに 不純物除去、燃費向上も

経済 | 神奈川新聞 | 2017年8月22日(火) 10:06

コスト低減で植物油燃料の精製装置を開発したナノフュエルの大矢会長 =川崎市川崎区
コスト低減で植物油燃料の精製装置を開発したナノフュエルの大矢会長 =川崎市川崎区

 燃料加工のナノフュエル(川崎市川崎区)が、植物原油を従来の1割程度のコストでバイオマス燃料に加工する装置を開発し、販売を始めた。ナノサイズ(1ナノメートルは100万分の1ミリ)まで微粒化した水を添加・分散させる「ナノエマルジョン化」と呼ばれる独自技術で、植物原油に含まれる不純物の除去や燃焼効率の向上を実現。コスト削減に加え、燃費向上や有害物質の排出抑制など利点が多い。再生可能エネルギー発電の事業者を中心に注目されており、装置販売で年間50億円の売り上げを見込む。

 パームやジャトロファといった植物の原油は、粘り気のあるガム質のもととなるリン脂質を含み、そのまま燃やすとガム質が燃料の噴射装置に固着し、燃焼が停止してしまう。このため、これまでは「メチルエステル化」と呼ばれる複雑な化学処理で精製加工していたが、高価な処理コストが課題だった。

 同社は、水がリンと結び付きガム質を吸着する性質に着目。微粒化した水を植物原油に添加し、水にガム質を吸着させた上で、遠心分離機で不純物を除去する。従来の化学処理は不要で、1リットル当たり数十円掛かっていたコストが数円程度に下がるという。

 さらに再度、不純物を除いた油に微粒化した水を添加すれば、安定分散した水の粒子が高温で水蒸気爆発しながら油滴を細分化し、燃焼効率を高めることができた。同社によると、燃焼効率の向上で、ディーゼルエンジンで燃費を3~5%、ボイラーで7~8%低減。燃え残りが少なくなるため、排煙に含まれる有害な粒子状物質を約8割、窒素酸化物を約2割削減できるという。同社の大矢寿郎会長は「有害物質を後処理でなく、燃焼段階で大幅に低減するのが特長。エンジンが長持ちし、維持管理の作業も減る」と話す。標準型装置で、1時間に1千リットルの燃料精製が可能という。

 パームなどの植物は生育時に二酸化炭素(CO2)を取り込んでいるため、燃料としてCO2を排出しても大気中の総量に増減の影響を与えない「カーボン・ニュートラル」のエネルギー源として、再生可能エネルギー発電の事業者が関心を寄せる。大矢会長は、約120の事業者から装置への問い合わせがあるとし、「ナノエマルジョン化技術では世界一と自負している。環境規制が強まる中、植物油燃料はグローバルで注目されており、研究開発とともにセールス活動を強化したい」としている。

 
 

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