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111年目の崎陽軒
食のインフラ、シウマイ弁当(上)物流

経済 | 神奈川新聞 | 2019年4月19日(金) 05:00

横浜工場には1時間約70台の配送車が出入りし、県内各地に商品を届ける=横浜市都筑区
横浜工場には1時間約70台の配送車が出入りし、県内各地に商品を届ける=横浜市都筑区

 11路線が乗り入れ、1日平均220万人を超える乗降客が行き交う横浜駅。最終電車が出発し喧噪(けんそう)が静まる頃、東口の崎陽軒本社(横浜市西区)地下にある工場でシウマイ弁当の製造が始まる。

 深夜に出勤した従業員は、熟練の技で一つ一つの箱におかずを詰め、ひも掛けを行う。1日平均2万4千個が売れるシウマイ弁当は、同社の売り上げの約3割を占める主力商品。毎日、横浜工場(同市都筑区)と合わせ、横浜市内だけで約60店ある崎陽軒の店舗に1日複数回運ぶほか、多い時にはイベント会場や会合場所など150件の届け先がある。

 こうした細かいオーダーへの対応を可能にしているのが同社自前の物流網だ。

 毎日変わる物流量に対応し、同社ドライバー経験者の「職人技」で配送車の配車を組む。道路が混雑する時期や時間帯、ホテルへの納品の方法などをすべて考慮に入れて配車を決める。

 スケジュールがタイトなイベントなどでは、出演者が食事を取れる時間が限られている場合も多い。弁当の配達時間には1時間程度の余裕を設けてはいるが、渋滞などで到着時間が遅れないよう注意を払っている。



 「屋外で行う社員運動会は雨天で中止になることもある。注文する弁当は、大量の当日キャンセルも可能な崎陽軒のシウマイ弁当と決めている」

 県内大手企業の役員が明かす。

 崎陽軒にとって年間で一番のピークは秋の運動会シーズン。9月の終わりごろから10月末までの毎週末ごとに企業や学校、自治会の注文が集中し、生産現場以外の社員や役員が工場の応援に入ることもある。

 天候に左右される運動会だが、崎陽軒の場合、雨天中止の場合も当日朝5時までに連絡をすれば弁当をキャンセルすることができる。毎時間ごとに製造量を調整できる崎陽軒だからこそ可能な対応だ。

 対応可能な数には限りがあるが、弁当事業部横浜第一営業部外商課の田代祐樹さんは「雨天時の当日キャンセルは広く支持をいただいているので、可能な限りニーズに応えていきたい」と話す。



 「われわれには必要な方にお弁当を届ける『供給責任』がある」と話すのは広報・マーケティング部の西村浩明課長。

 繁忙期の一つの春は、卒業・入学式の来賓向けに学校からのオーダーがある。今月7日の統一地方選挙の投開票日には、横浜市内約400カ所の開票所へ弁当を届けた。

 また崎陽軒は行政や鉄道会社と協定を結び、大規模な災害や事故の際などに食料を提供する任務も負っている。どのような時間帯の注文でも、対応できる社員が生産ラインを動かして対応するという。

 横浜駅の駅弁屋として創業した同社だが、今や県民にとって「食のインフラ」ともいえる存在になりつつある。



 1954年に横浜駅の駅弁として発表されたシウマイ弁当。行楽はもちろん企業の会議や学校・自治体のイベントでも用いられる「県民食」的な存在となった。シウマイ弁当を巡る人々の思いと、創業111年を迎えた崎陽軒の戦略を追う。

崎陽軒 1908年創業。県内を中心にシュウマイや弁当の製造販売、レストランなどを展開。代表者は野並直文社長。売上高245億円(2018年2月期)。従業員数1944人(2019年3月末時点)。

 
 

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