「相互直通運転が始まると、人の流れが変わる」
長年、横浜駅西口の変遷を見てきた横浜岡田屋(横浜市西区)の岡田伸浩社長は、相鉄線とJR線、東急線の相互直通運転による影響を注視している。
11月30日から始まる相鉄線とJR線の相互直通運転で、通勤・通学など都心に向かう相鉄線利用者の利便性が大幅に向上する。例えば、二俣川駅から新宿駅までの所要時間は15分程度短縮されるという。
相互直通運転が始まっても全ての電車が都心に乗り入れるわけではないが、通勤・通学で都心に向かう相鉄線利用者の多くが直通電車を選ぶだろう。加えて、直通線は西谷駅で分岐され、横浜駅を経由しない。横浜駅西口の来街者が減少する、とみる商業施設関係者も少なくない。
岡田社長は「影響はかなりある」とみている。
横浜駅は相鉄線、JR線、東急線、みなとみらい線、京急線、横浜市営地下鉄が乗り入れ、1日平均の乗降人員は220万人を超える県内一のターミナル駅だ。乗降人員は10年前に比べ約6%(推計)増加した。横浜駅西口は「商業施設が建設されるたびに来街者が増え、成長し続けてきた」(岡田社長)が、近年変化が起きているという。
相鉄ビルマネジメント(同)の石幡勝営業統括部次長は、「東京と人を取り合う地域間競争が起きている。県内でもラゾーナ川崎や辻堂駅のテラスモール湘南などがライバル。相互直通運転で競争はますます激化する」と、横浜駅西口が置かれている状況を語る。
「今までは放っておいても人が来てくれるまちだった。これからは『行きたい』と目的を持って来てもらえるようなものを作らなければならない」。岡田社長は、新たに人を呼び込む仕掛けや仕組みが必要だと訴える。