
「レオパレス21の問題も、スルガ銀行の問題も、根底には『サブリース』という契約の仕組みが横たわっている」
不動産業界に詳しい金融機関関係者が明かす。
「時期は異なるが、いずれも、景気変動に影響を受けた低金利市場の中で起きている。金融機関の資金余剰を受け、サラリーマンや退職金を手にした60~70代のシニア世代の一般消費者にアパートを建てさせた。これを賃貸業者が一棟まるごと借り上げ、個々の住戸の賃貸管理を引き受けるビジネス(サブリース)が拡大していった」
レオパレスは賃貸業者、スルガ銀行はアパートローンとして一般消費者に資金を提供する役割を担っていた。
レオパレスの施工不良問題で発覚した全国1324棟は、1996~2001年に着工した物件だった。この時期は、景気後退局面で金利が下がっていったタイミングと重なる、と金融機関関係者はみる。
「市場は不景気。将来に不安を抱いた高齢者層や資産家、退職金を手にしたシニア世代を中心に、資産運用に動いた。そこに金融機関側も足並みを合わせた」
低金利の中でも利ざやを稼ぐ必要がある。貸し先を増やすために、金融機関が賃貸業者や不動産会社に顧客を紹介していたケースも少なくなかったという。
机上の計算
問題発覚を受けたレオパレスの記者会見で深山英世社長は施工不良の理由を「効率を上げるのが一番の目的だった」と説明した。
新規の建て主(オーナー)に金融機関が資金提供し、レオパレスが建築を請け負い、利益を確保する。この回転を速めていくことで利益を増幅させるビジネススタイルが浮かび上がる。