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揺らぐ 住まいは安全か(上)
続く不正、膨らむ不安 リスクを背負わされる消費者

経済 | 神奈川新聞 | 2019年3月11日(月) 05:00

レオパレス21横浜支店。県内には施工不良の物件が127棟あるという=横浜市神奈川区鶴屋町
レオパレス21横浜支店。県内には施工不良の物件が127棟あるという=横浜市神奈川区鶴屋町

 耐火性能を満たしていない天井や壁が見つかった。全国33都府県に1324棟。賃貸アパート大手、レオパレス21(東京都中野区)の施工物件で、このうち県内には1割近い127棟があるという。

 「どうして繰り返し何度もこういうことが起きるのか。いろいろな問題が重なって起きていると思う」。県内で建設業を営む社長の声は重たい。業界全体の信用が失われていくことへの危機感は強い。

 レオパレスの深山英世社長は会見で「建築現場での作業効率を上げるのが一番の目的だった」と明かした。

 県内の金融機関関係者は同社のビジネスについてこう解説する。

 「資産のあるオーナーに建物を建てさせ、レオパレスが全体を借り受け、個々の住戸の賃貸管理を請け負ういわゆる『サブリース』という仕組みで成長してきた。このビジネスは、建築請負の段階で利益を確保し、賃貸管理ではそれほどもうけを出さなくても済むようにしていた」

 深山社長の言が重なる。

 いかに「効率的に」、つまり短期間に安く仕上げるか。そこに注力するあまり施工不良を生んだ、という構図が浮かび上がる。

効率重視


新たに物件の施工不良が見つかり、記者会見するレオパレス21の深山英世社長(中央)ら=2月7日午後、都内
新たに物件の施工不良が見つかり、記者会見するレオパレス21の深山英世社長(中央)ら=2月7日午後、都内

 住まいの安心と安全を揺るがす不正が止まらない。

 昨年10月には、ビルの耐震性を高める免震・制震装置である油圧ダンパーで不正が見つかった。油圧機器メーカー大手のKYB(東京都港区)が検査データを改ざんした製品を納入していたのだ。

 実際にマンションや公共施設に使われていたことから影響が広がっている。対象物件は1105件に拡大。2020年9月をめどに問題の装置を交換するとしているが、現時点で交換を終えたのは20物件にとどまっている。

 自社の開発物件にデータ改ざんされた免震装置が使われていたという県内の不動産会社幹部はこう話す。

 「設計図や仕様書に従った数値の製品として納品されている。それを信じるしかない。発見のしようがない」

 責任を回避する手だてがない。しかし居住者や管理組合への対応が迫られている。既に中古物件として売買されてしまったケースもあり、被害や影響は今後も広がる可能性がある。

 KYBは2月、データ改ざん問題について調査報告書を公表し、原因をこうまとめた。

 「納期の厳守、受注ありきの工場運営」。

 幹部が指示、黙認するなど、不正は工場の責任者も認識していて「組織的な改ざん」だったとしている。

 ここでも「納期の厳守」という効率を優先する企業の体質が不正を生む温床となっていた構図が透ける。

広がる影響

 県内では14年に相次ぎ大型マンションが傾く施工不良が発覚した。横浜市西区の分譲マンション(262戸)では、全5棟のうち4棟で杭(くい)の一部が強固な地盤に達しておらず、1棟が傾いていることが明らかになった。その後も建物と地下の杭をつなぐ部分に不適切な施工が行われていたことも判明した。

 同市都筑区の大規模マンションでは、14年に手すりのずれが見つかった。住民の訴えから調査したところ、15年になって杭が強固な地盤に届いていないだけでなく、検査データの改ざん、コンクリート量に関するデータの改ざんも見つかった。

 傾いていることを施工業者や不動産会社が認めた後も、管理組合の建て替え決議や、住民の引っ越し、解体と、膨大な時間がかかっていった。

 同区のマンションが建て替え新築工事に着手できたのはことし6月のこと。それでも入居が始まるのは20年12月という。

 繰り返される施工不良に、関係者の多くは「見抜きようがない」と口をそろえる。だがそれは居住者も同じだ。むしろ情報や技術、資金面や組織で弱い立場にある消費者への影響は計り知れない。

 それでも大手不動産会社や建設業者が手掛けた物件であれば、消費者側は金銭的負担を免れるケースが少なくない。


基礎がなく防湿コンクリートの上に角材が置かれ、その上に土台が乗っている
基礎がなく防湿コンクリートの上に角材が置かれ、その上に土台が乗っている

 だが、一戸建て住宅ではそうはいかない。

 不正施工に詳しい1級建築士の山本康彦さんは昨年、衝撃的な物件に出くわした。

 「目を疑った。床下に基礎がない。防湿コンクリートの上に角材が置かれ、その上に土台があった。耐震性を保つためには壁が基礎に支えられていなければならないが、その基礎がまったくない」

 山本さんは、問題の物件の建築確認を出した藤沢市へ向かった。

■ ■ ■

 建物を巡る相次ぐ不正によって、住まいの安全性が揺らいでいる。効率化の追求、建築確認制度の欠陥、そしてリスクを背負わされる消費者-。広がる影響の断面を追った。


 ◆レオパレス21 1973年に創業した不動産仲介業「ミヤマ」を前身とする賃貸アパート大手。単身者向けアパートの建築請負や物件の賃貸管理などを手掛ける。家具・家電付き、敷金・礼金0円といった賃貸プランが特徴。グループ全体の従業員は2018年9月末で約7800人。18年3月期連結決算の売上高は5308億円、純利益は148億円だった。

 ◆施工不良問題 レオパレス21は2018年5月、1996~09年に建てた物件の一部で建築基準法違反の疑いが見つかったと公表。延焼防止や遮音のための仕切り壁がなかったり不十分だったりしたとしている。ことし2月には新たに全国33都府県にわたり1324棟で壁や天井に施工不良が見つかったと発表。うち県内には127棟あるとしている。


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