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AI独自技術売り込む県内ベンチャー 産業市に出展

経済 | 神奈川新聞 | 2017年7月5日(水) 02:00

シミュラティオが開発した自然な言葉を理解するAIデータベース
シミュラティオが開発した自然な言葉を理解するAIデータベース

 あらゆるビジネスへの活用が期待される人工知能(AI)。働き方改革に伴う労働時間の短縮や人手不足を背景に、市場規模の拡大が予測される中、6月末に東京ビッグサイト(東京都)で初開催された「AI・人工知能EXPO」には、AI技術やサービスを競う100社以上が出展した。県内ベンチャーも、人が日常的に使う言葉をAIに認識させ、的確な応答を導き出す自然言語処理の分野で独自技術を売り込んだ。

 2005年設立のシミュラティオ(横浜市港北区)の主力は、膨大で専門的な文書の内容を理解し、蓄積・管理するAIデータベース「LAND(ランド)」。従来のデータベースはキーワードからの検索が中心だが、ランドは文書の論理的な内容を認識し、自然な文章からの検索に対応する。技術仕様書や特許情報、法務書類など、専門的かつ論理的な文書の検索に適しているという。

 近野利信社長は「蓄積したデータから統計的に意味を抽出するのではなく、主語と述語の関係を解析するなど、より正確な理解に基づく言語処理システム。言葉の前後関係を把握してデータベースを探索するので、最適な回答を導くことができる」とアピールする。より一般向けの口語表現解析システムも製品化しており、7月からランドを含め、本格的な受注体制を整えた。

 AIの思考回路を透明化し、導かれた答えの信頼性担保を技術開発の主眼に据えるのは、オメガ・レゾン(同市中区)。思考の基本となる原因と結果の関係性を識別しながら学習させ、「知能形成の過程を見える化したAI」(宮崎洋彰社長)の原型モデルを出展した。

 テキスト形式で必要な知識を更新することで、これまでの情報との整合性や新規性を評価し、知識体系をつくり上げていく。AIの学習法としては、人間の脳を模した計算手法で、データの特徴を繰り返し学ばせ、認識や分類を蓄積する「ディープラーニング」が知られるが、宮崎社長は「AIがどのような処理で答えを導き出したかが、より明確でユーザーが結果に納得しやすいシステムを追求してきた。学習過程の追跡が容易で、用途に応じたカスタマイズも可能なのが特長」と話す。

 16年設立で、イベントへの出展は初めて。故障や事故原因の解析などへの応用が期待され、宮崎社長は「思考の透明性確保に評価の声が多く、意を強くした。興味を持っていただいたメーカーとのパートナーシップを強化し、高機能化による販路開拓を目指したい」と今後を見据える。


盛況だったオメガ・レゾンのブースで、来場者の問い合わせに応じる宮崎社長(右端)=東京ビッグサイト
盛況だったオメガ・レゾンのブースで、来場者の問い合わせに応じる宮崎社長(右端)=東京ビッグサイト
 
 

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