景気拡大期間が高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さとなった。一方で企業が見据える先行きは、人手不足や消費税増税、米国発の貿易摩擦などを要因に不透明感が増している。県内の中小企業や小規模事業者の現状と課題について、県中小企業団体中央会の森洋会長に聞いた。
-2018年は国内で自然災害が相次ぎ、世界経済では米中貿易摩擦などの問題が市場不安を招いた。
「中小企業にとって景気回復の実感が乏しい1年だった。自然災害は県内中小企業の一部にも事業面への影響を与えた。米中間の報復関税の応酬は企業業績や景気の下押し要因となりかねない。足元で深刻なのは人手不足。事業承継への対応も喫緊の課題だ」
-人手不足を巡る県内の動きは。
「少子高齢化や働く世代の減少が止まらない一方で働き手の大企業志向が強く、構造的な問題がより顕著になっている。神奈川の最低賃金は4年連続で引き上げ額が拡大し、時給983円となったが、中小企業では賃金引き上げに踏み切っても人が集まらない」
「そのような中、昨年7月に当会が国から受託した『働き方改革推進支援センター』の事業による社会保険労務士などの企業派遣は5カ月で約50件。働き方改革関連法が4月から順次施行されるのに伴い、県内企業でも実務的な対応を急いでいるのがうかがえる」