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「居心地の良さ」追求へ 都市型スパ、改装相次ぐ

経済 | 神奈川新聞 | 2018年12月21日(金) 17:00

売りの天然温泉。浴室以上に入浴後の休憩スペースが重要になっているという(東急スポーツオアシス提供)
売りの天然温泉。浴室以上に入浴後の休憩スペースが重要になっているという(東急スポーツオアシス提供)

 師走も半ばを過ぎ、朝晩の冷え込みも厳しくなってきた。こんなときには風呂で体を芯から温めて…。横浜市内の温浴施設(スパ)が相次いで改装した。風呂だけでなく「居心地の良さ」で競争力を高めようと挑んでいる。湯けむりだけではない、人を惹(ひ)きつける要素とは。

 開業から11年を経て緩やかに来場者は減少していたという。12月にリニューアルオープンしたのは横浜市都筑区のショッピングモール「港北みなも」の中にある「港北天然温泉 スパガーディッシュ」。改装を機に施設名も「港北天然温泉 ゆったりCOco(ココ)」に変えてしまったところに、意気込みがにじむ。

 「居心地の良さ。落ち着く場所としてどうあるべきか。『ここならダラっと過ごせる』と思ってもらえる。そういう所にしたかった」。運営を手掛ける東急スポーツオアシス(東京都港区)の片岡康幸ゼネラルマネージャーは狙いをそう説明する。


漫画3万冊に


漫画の冊数を3倍の3万冊に増やした「港北天然温泉 ゆったりCOco」=横浜市都筑区中川中央2丁目
漫画の冊数を3倍の3万冊に増やした「港北天然温泉 ゆったりCOco」=横浜市都筑区中川中央2丁目

 これまで1万冊だった漫画本の冊数を3倍に拡充。「押し入れベッド」なる空間を確保し、「こもって集中して読み、そのまま寝られる」工夫を凝らした。

 壁紙や床も張り替え、列をなすように並べていた66個のリクライニングチェアも一掃し、窓際にハンモックを置いたり、自由に寝転ぶことのできるスペースを増やしたりした。

 「特に平日の落ち込みを回復させたかった」。目指したのは仕事帰りのひとときや、仕事の合間にも立ち寄れる空間だった。


入浴後の休憩スペースを一新した「港北天然温泉 ゆったりCOco」。押し入れをイメージしたくつろぎ空間も=横浜市都筑区中川中央2丁目
入浴後の休憩スペースを一新した「港北天然温泉 ゆったりCOco」。押し入れをイメージしたくつろぎ空間も=横浜市都筑区中川中央2丁目

 ファミリー世帯が数多く住む「都筑、港北」という立地という点からも休日には家族連れが使いやすい休憩スペースも新設した。

 では、売りの「天然温泉と21種の風呂」はどうしたか。

 「実は、ウッドデッキや柱を張り替え、タイルの目地、シャワーやカランを交換した程度で、大きな変化はありません」(片岡ゼネラルマネージャー)。

 風呂を目的とした来場者のニーズ以上に、風呂上がりのひとときをどう過ごすかという要望の方が大きかったのだという。

先駆者も刷新


サウナを模した部屋で会議もできるようになっているワーキングスーペース(スカイスパ提供)
サウナを模した部屋で会議もできるようになっているワーキングスーペース(スカイスパ提供)

 都市型スパの先駆者でもある22年前にオープンした横浜駅東口の「スカイスパYOKOHAMA」(横浜市西区)も、浴室自体は変えずに、ビジネスマン向けの施設拡充で攻めた。

 10年ぶりの大規模改装を実施したのは11月。「若いビジネスマンの利用が微増してきた」と話すのは、運営を手掛ける国際企業(同)の広報担当者だ。

 既存のレストランやマッサージスペースを、ビジネス向けの「コワーキング」ゾーンに一変させた。ホワイトボードやプロジェクターを完備したブースなども用意し、会議が行えるようにした。

 「サウナでリフレッシュして仕事に取り掛かる利用者がこれまでも少なくなかった。評判がいい。より多くの人に『使いやすさ』を実感してもらいたい」(広報担当者)と一層の周知に注力するという。


ユーザー開拓


 「温浴施設業界はいまや成熟したマーケットとなった。風呂以外の部分で、競争力を高める工夫が重要になってくる」

 こう話すのは温浴施設向けにコンサルタント事業を展開しているアクトパス(東京都中央区)の望月義尚代表だ。浴室の改装には膨大な資金が必要になるが、休憩スペースであれば比較的低コストで競争力を高めたり特徴を打ち出したりすることができる。

 「首都圏では宿泊施設が足りない傾向があり供給が増えている。そうした中で温浴施設が宿泊機能を拡充している背景もある。場所に縛られずにノートパソコンなどを使って働く『ノマドワーカー』は今後も増える見通しでこの分野でも温浴施設には商機がある」(望月代表)。


銭湯とその他浴場件数の推移
銭湯とその他浴場件数の推移

 マーケットの状況に詳しい日本サウナ・スパ協会の若林幹夫事務局長も「全体として店舗数が減少傾向にある中で個々の店舗の魅力をどう出していくかが勝負どころ。サウナは30代後半から40代にかけてその気持ち良さを知る。つまり、常にこの年齢層のユーザーに訴える取り組みが欠かせない」とみる。「例えば、水風呂の温度一つをとっても、16度前後だと満足度が高い。こうしたきめ細かい対応が必要になっている」と話す。

 20年ほど前に続々と誕生した都市型スパ。マッサージや岩盤浴などいくつかのブームを経たいま、競争力を維持し、陳腐化させない新たなサービス展開が欠かせない要素になっている。

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