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9月の台風9号被害なお、県内水産業に後遺症、濁水でアユ育たず/神奈川

経済 | 神奈川新聞 | 2010年12月3日(金) 00:53

酒匂川から流出した大量の濁水は1カ月近くが過ぎても相模湾の水面を茶色く染めた=10月6日、本社チャーターヘリから
酒匂川から流出した大量の濁水は1カ月近くが過ぎても相模湾の水面を茶色く染めた=10月6日、本社チャーターヘリから

記録的な豪雨により県西部に甚大な被害をもたらした台風9号の爪痕が、酒匂川や相模湾の水産資源に深刻な影響を与えていることが2日、明らかになった。上流から流れ出る濁水がアユの生息環境を奪い、河口周辺に堆積した泥はアワビの産卵を阻害。地元の漁業関係者は「今まで経験したことがないほど深刻」と悲鳴を上げており、県は被害回復策に乗り出す方針。県議会本会議で鈴木秀志氏(公明)の代表質問に松沢成文知事が答えた。

9月8日に丹沢湖(山北町)で観測史上最多の495・5ミリを記録した台風9号。同町や静岡県小山町では土砂崩れや砂防施設崩落が相次ぎ、支流などに流れ出た土砂は酒匂川の清流を濁流に変えた。

県の調査によると、酒匂川下流にある飯泉取水施設(小田原市)付近の「濁度」は通常5度以下なのに対し、台風通過直後は400度近くに悪化。改善傾向にあるが、11月末現在も20度ほどの濁りが続いている。さらに相模湾に流出した泥は最大12センチほどの厚さで海底を覆い、河口から西に約8キロ離れた江之浦海岸付近にまで広がっているという。

濁水は清流を好むアユの生息環境を直撃。水中に光が差し込まず餌となるコケが生育できない上、岩に付着した泥が卵の着床を阻む。1日に解禁された「落ちアユ釣り」への影響も懸念されるが、「水中が見えず生息数が確認できない」(県水産課)のが現状。卵が流されれば、来春以降の遡(そ)上(じょう)にも影響する見通しだ。

一方、「天然モノ」が売りのアワビへのダメージは、本来はこの秋に産卵した幼生が漁獲期を迎える3年後に顕著になる恐れがある。細かい泥が岩場に堆積して稚貝が定着しないことに加え、秋に胞子を出して増殖する海藻のカジメも泥をかぶり、アワビが餌不足に陥るためだ。

地元の漁業関係者は「これほど濁りが長引く状況は初めてで、漁業への影響は避けられない。自然回復力に期待するしかない」と嘆く。

県によると、静岡県内の酒匂川上流部では、河川や砂防施設の被害が約100カ所に上り、復旧工事には最長3年を要する場所もあるという。松沢知事は「必要な対策はできる限り前倒しで実施していく」と強調。静岡県に対しても濁流防止の協力を依頼する。また、酒匂川漁業協同組合が行っているアユ放流義務量を軽減するほか、海面漁業に関してはアワビ稚貝の放流を行うなどの資源回復策を検討している。

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