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基幹部品供給で利益確保、川崎のアステムは韓国市場で技術勝負/神奈川

経済 | 神奈川新聞 | 2010年11月8日(月) 00:36

韓国で販売好調の乱丁センサーを手にする鈴木社長=川崎市高津区のアステム本社
韓国で販売好調の乱丁センサーを手にする鈴木社長=川崎市高津区のアステム本社

先行き不透明な国内市場に限界を感じ、海外にビジネスチャンスを求めた中小企業がある。社員7人のアステム(川崎市高津区)が目をつけたのは、韓国市場。新たな事業モデルを構築する「負けない経営」で、得意技術を韓国に売り込もうと勝負に出た。

■現地メーカーと提携

アステムの主力製品は、製本工場向けの乱丁センサー(感知器)。CCD(電荷結合素子)カメラを内蔵する同社製センサーは1ラインに8台置いた場合、1時間で最大1万2千冊の乱丁をチェックできる優れものだ。

だが、国内の市場環境は厳しい。長引く景気の低迷に、出版不況が重なる。同社の受注水準もリーマン・ショック前の3分の1にまで落ち込んでいるという。

こうした状況を打開しようと、今年から韓国市場に進出した。といっても、販売会社や工場を新設する手法ではなく、現地の既存機械メーカー・ジニール社(本社・ソウル市)との業務提携だ。

鈴木光社長が今年1月、取引先を通じて紹介されたジニール社に自社製品の話を持ち掛けたところ、意外にも韓国には乱丁センサーがほとんど出回っておらず、トントン拍子で話が進んだという。

■事業モデルを構築

業務提携後、アステムは乱丁センサーのコアとなる基幹部品を除く、製造に必要な部品リストをすべて公開した。ジニール社が資材調達から生産、販売までを一貫して行う。

アステムは、長年蓄積してきた技術的ノウハウの詰まった乱丁センサーのコア基板だけを供給する。鈴木社長いわく、「基幹部品だけを売ることで安定した利益が見込める」。

日本コカ・コーラが原液の販売と商品企画を手掛け、各地域の「ボトラー」と呼ばれる別資本の会社が製造販売と物流を担当するビジネスモデルとよく似た仕組みだ。

現地メーカーの活用で、その国の市場に合った製品に仕立てることも可能になる。投資のリスクも抑えられる。「基幹部品はノウハウの塊とも言えるもので、絶対にコピーできない」と鈴木社長。他社にはない高付加価値部品なので、価格競争の心配もない。

■逆輸入も検討

進出初年度の今年、すでに60台以上を納入した。年度内だけでも累計310台の販売を見込む。次年度は400~500台。落ち込んだ会社の収益も回復する見通しだ。

現在、検討しているのが“逆輸入”。韓国で日本市場向けの製品を生産することで、コストが半分近くに抑えられるという。

「文化的にも日本と背景が近いから」と韓国に着目した鈴木社長。現地メーカーとビジネスをうまく進めるこつは「何回も足を運んで信頼関係を築くことが最も重要」と強調する。

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