浜銀総合研究所は22日、政府が2017年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を発表したことを受け、17年度の国内景気予測を見直した。同年度の実質GDP成長率は前年度比プラス1・5%と予測。前回3月予測から0・2ポイント上昇修正した。輸出が増加する中で企業の生産活動が改善。16年度第2次補正予算の効果で公共投資も大きく押し上げられ、景気の緩やかな回復基調を維持すると見込んでいる。
同総研によると、17、18年度は世界的なIT関連財の需要伸長を背景に、アジア向けの半導体部品輸出が堅調に推移。インバウンド(訪日外国人客)の数もアジアからを中心に増えており、輸出の押し上げに寄与する見通しだ。
輸出の増加を起点に企業の生産活動も回復。さらに日銀が3月に発表した企業短期経済観測調査(短観)では設備投資計画が例年より強めに出ていることから、省力化投資や更新投資を中心に設備投資の緩やかな増加基調が続くとみる。
一方、雇用・所得情勢の緩やかな改善が個人消費を下支えする半面、エネルギー価格の上昇で電気代やガス代への転嫁が進み、節約志向の継続が個人消費の改善を弱める恐れがあるとした。
18年度の実質GDP成長率もプラス1・1%と、前回から0・1ポイント上昇修正した。ただ今後、同年度にかけて物価上昇が見込まれるなか消費者心理に悪影響を及ぼす可能性や、16年度補正予算による公共投資の押し上げ効果がなくなる点について懸念した。
人手不足感の強まりに伴って雇用情勢の緩やかな改善が続く一方、遠藤裕基副主任研究員は1人当たり賃金の伸び悩みについて指摘。相対的に賃金水準の低い65歳以上の非正規雇用者などの増加が要因として「単に労働需給の逼迫(ひっぱく)だけでは(1人当たり賃金の)上昇圧力が強まりにくい」と指摘した。