種苗大手のサカタのタネ(横浜市都筑区)が、トマトのシェアで首位奪取に挑んでいる。野菜の中で生産額が最も大きいが、ライバルの後塵(こうじん)を拝してきた。商品開発に加え産地での営業を強化。地元である県内でも農家の技術指導に力を入れている。
サカタのタネは2003年に大玉トマトのブランドを開発し、07年には収穫量の多い新品種「りんか409」を発売した。「対抗できる品種はできた。あとは営業強化だ」と同社。
意識するのはタキイ種苗(京都市)だ。品種「桃太郎」などを擁し、トマト種苗の全国シェアは7割とされる。
サカタのタネが重視するのは、全国で最も早く出荷が始まる九州。ここでヒットすれば中国・四国、近畿、東日本へと需要が波及していくため「先手必勝」を狙う戦略だ。「りんか409」は国内最大の産地である熊本県八代市では今までほとんど実績がなかったが、シェア3割を獲得したという。
農家での技術指導も積極的に展開する。月1回程度、営業担当者だけではなく、時には研究員やマーケティング担当者も一緒に巡回。ビニールハウスの室温や追肥方法などをアドバイスする。
中でも地の利を生かせる県内では囲い込みに力を入れる。「地元で自社の種子が使われていると、社員の士気も上がる」との狙いもあるという。
迎え撃つタキイ種苗も昨夏、相次いで「桃太郎」の新品種を発売した。高温期でも完熟出荷できる品種や、少量の農薬でも安定して収穫できる品種を打ち出した。
農家にとって品種の変更は、その年の収入に直結する。タキイ種苗は「桃太郎は味、収穫量など地域に応じて随時、品種改良している」と負けていない。
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