パイオニアが、川崎事業所(川崎市幸区)への本社移転時期を来年1月を目標に準備を進めていることが19日分かった。東京・目黒の現本社ビルは売却して登記上の本店所在地も川崎に移す方針で、名実ともに県内企業になる公算が大きい。
経営管理部や総務・人事などの事務スタッフ部門のほか、先端技術を研究する総合研究所(埼玉県鶴ケ島市)の一部も移転させる。異動規模は明かしていないが、移転後の川崎事業所には数千人が勤務する見込み。
同社は薄型テレビの不振により、2009年3月期は純損失が1305億円で5期連続赤字となった。収益改善を目指し資産の見直しに着手。全国4カ所ある事業所を川崎と川越(埼玉県川越市)の2カ所に集約する方針を打ち出していた。
本社が川崎に決まったことで、川越はカーナビゲーションシステムの研究開発拠点として位置づける。
本社移転について川崎市は「まだ正式な話が来ていないが、ありがたい話。地元経済の活性化にもつながる。市内の技術力のある中小企業との結び付きが期待できる」(工業振興課)としている。
新川崎地区にある川崎事業所は、市が誘致し07年に完成。オーディオなど技術開発拠点になっている。
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