イヌやネコなどのペットと医療をめぐるビジネスが活発化している。ペットを家族の一員ととらえる考えが広がりをみせる中、ペットの医療の質の向上を求める声が高まっていることなどが背景にある。
矢野経済研究所の調べによると、ペットフードやデンタルケア用品などを含めたペット関連市場規模は、2011年度は1兆4033億円。ペットの高齢化や介護、生活習慣病などの問題も進みつつあり、今後も新たなビジネスの創出が期待されるという。
ペットの健康を支えるビジネスも多角化している。在宅ケアを支える「酸素ハウス」を開発したのが、酸素濃縮器メーカーのテルコム(横浜市中区)。心臓や肺の疾患などに苦しむペットの酸素吸入を手助けする。通常、空気中の酸素濃度は20%程度だが、酸素濃縮器からチューブを通してハウス内に酸素を注入することで、およそ30~38%に保てるという。
動物病院の紹介でレンタルする方式。ハウスの大きさはフェレットや鳥、子犬など向けの小型と、成犬など向けの中型を用意。13年8月末現在で1400台以上が全国で稼働している。
クラウドを活用して、動物病院向けの診療支援などを狙い、協業を進めているのが富士通(東京都港区)とペット向け保険大手のアニコム(東京都新宿区)。第1弾として、動物病院向けの医療支援サービスを共同開発、11月から発売する。
富士通によると、動物病院では1人の獣医師がイヌやネコから、鳥やフェレット、爬虫(はちゅう)類など幅広い動物を診察するケースが多いという。そこで、動物の種類と症状、検査結果などを入力することで、疑われる病気を検索できる機能を開発。獣医師の診察をサポートする。診察データをクラウドに蓄積することで、各病院からのデータを共有することができ、よりスムーズな診察につなげる。
さらに、タブレット端末などを活用することで、飼い主に病気の症状を分かりやすく説明できる機能も搭載している。両社は16年度末までに3千の動物病院への提供を目指している。
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