日産自動車(横浜市西区)は25日、高性能スポーツブランド「NISMO(ニスモ)ロードカー」事業を拡充すると発表した。現在7車種のラインアップを倍以上にし、グローバルの年間販売台数を現状の1万5千台から2020年代初頭に10万台に伸ばす目標を掲げた。戦略の基盤となる企画・開発機能を集約した「ニスモ・カーズ事業部」を今月に始動。モータースポーツで名をはせるニスモブランドの選択肢を広げ、浸透を図る。
「モータースポーツ由来のニスモのDNAをお客さまに届け、日産車の魅力を高める使命を果たす」-。同日、モータースポーツ部門を手掛ける日産子会社のニスモ(同市鶴見区)で、片桐隆夫社長兼最高経営責任者は力を込めた。ニスモロードカーは、日産の市販車にモータースポーツで得た運動性能やデザインの知見を取り入れたカスタムカー。13年1月のジュークNISMOを皮切りにノート、マーチなど7種類を展開する。
現状の7倍弱の販売目標達成に向け、今後はバリエーションの多様化と顧客との接点拡大、組織の一元化を進める。バリエーションでは、適用車種の倍増に加え「定番のセダンやハッチバックにとどまらず、SUV(多目的スポーツ車)やミニバン、EV(電気自動車)などにもニスモブランドを設定していく」(片桐社長)。ブランドの専門知識を持つスタッフが応対し、展示・試乗機能を備える国内ディーラーを現在の26から22年には40に増やし、ブランド発信機能も強化。需要が大きいとみられる欧米にも販売網を展開するという。
これまで分散していた企画・開発機能は、日産グループの特装車両を手掛ける「オーテックジャパン」(茅ケ崎市)内のニスモ・カーズ事業部に一元化。片桐社長は「人財を集約し、約50人の精鋭が精度の高い仕事を迅速に行う態勢になった。エキサイティングに走りたいという潜在需要を掘り起こしたい」と意気込んだ。