1. ホーム
  2. ニュース
  3. 経済
  4. 逆境チャンスに復活へ新商品、気仙沼工場被災の水産加工食品会社/川崎

逆境チャンスに復活へ新商品、気仙沼工場被災の水産加工食品会社/川崎

経済 | 神奈川新聞 | 2013年10月10日(木) 22:56

新商品「はまらいんや」を手にする朝田専務(右)と、父・朝田長兵衛代表=川崎市多摩区の波座物産
新商品「はまらいんや」を手にする朝田専務(右)と、父・朝田長兵衛代表=川崎市多摩区の波座物産

東日本大震災で、主力の気仙沼工場が甚大な津波被害を受けた水産加工食品会社「波座(なぐら)物産」(川崎市多摩区)が、新商品の松前漬を発売した。気仙沼市内の別の場所に工場を建て直して1年。一日も早い再開をとの一心で奔走したものの、稼働後は取引先の減少など新たな課題に直面している。「それでも、決して気仙沼を離れない」。新商品には、これまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちが込められている。

「ちょうど1年…。あっという間でしたね」。朝田慶太専務(35)は感慨深げに振り返る。川崎に本社を置き、函館にも工場を構える同社だが、気仙沼という土地は特別な意味を持つ。三陸の豊かな水産資源や、地元の人たちとのつながり…。水産加工の街を再び活気づける一翼を担いたいとの思いが、朝田専務らを奮い立たせた。多額の借入金を抱えながら昨年10月、新工場を稼働させた。

しかし-。いざ看板商品の塩辛などを作っても、かつての取引先スーパーなどには既に違うメーカーの商品が並び、入り込む余地はなかった。「価格勝負となると大手にはかなわない」。今も取引量は震災前の半分にも満たない。再開を果たした同業他社の多くが、同じような状況にあるという。朝田専務は気仙沼ブランドは津波によって一瞬でなくなった、と感じた。

そこで発想を転換した。震災前と同じことをしていては駄目だ、新たな試みによって新規顧客を開拓しよう、と。新工場で新商品としては最初に手掛けた「波座の松前漬 はまらいんや」は、そんな発想の下で生まれた。はまらいんやとは気仙沼の方言で「仲間になりましょう」との意味。食卓に1品加えて、という思いを込めた。はまらいんやは今後、シリーズ化する予定だ。

逆境は会社の方向性を探る契機にもなった。従来は卸売りが中心だったが、今後は消費者の元へ直接、商品が届くようインターネット販売に注力しようと、ネット限定の新たなブランドづくりを進めている。統一のロゴを作り、「波座」の名を売り込む。将来的には実店舗も持ちたいと、朝田専務は夢を膨らませる。

一方で、もう一つ課題となっているのが人材育成。気仙沼工場には現在ベテランを中心に20人の従業員がいるが、高齢化が進んでいる。今の品質を維持するには技術の伝承が欠かせないが、新たに人を雇うにしても地元には水産業を志望する現役世代がいないのが実情という。

厳しい現実ばかりが立ちはだかるが、それでも朝田専務は前だけを見詰める。「逆境をチャンスに変えなければ。付加価値の高いオンリーワン商品を作り、気仙沼ブランドとして発信する」。それが、気仙沼の真の復活につながると信じている。

【】

津波に関するその他のニュース

経済に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング