長時間勤務が難しい精神障害や発達障害のある人に短時間就労の場を提供し、社会参加につなげる-。新たな働き方として「短時間雇用」の在り方を考えるシンポジウムが21日、都内で開かれた。川崎市も市内企業を対象に昨年から始めた「短時間雇用創出プロジェクト」を事例報告した。
障害者雇用促進法は障害者を一定以上の割合で雇うよう企業に義務付けているが、週20時間未満は法定雇用率の算定対象にならない。このため精神障害者らは意欲があっても働けないケースが多い。
この「週20時間の壁」を打破する策として短時間雇用を提唱する東京大学先端科学技術研究センター(目黒区)でシンポを開催。企業や行政関係者ら約120人が耳を傾けた。
川崎市障害者雇用・就労推進課の平井恭順さんは「2018年度の精神障害者の雇用義務化に向けて自治体も動かなければいけない」と説明。市内14社に22人が就職し、週2時間から勤務するプロジェクトの現状を報告した。
それぞれ検品や清掃などに当たっており、平井さんは「受け入れ企業が切り出す仕事は、周囲の社員が手間に感じてしまうことなく、『ありがとう』と言ってくれる内容となるよう気を付けている」と述べた。
採用企業の一つで、複数の福祉施設を運営するサン矢留(川崎区)の矢留航社長も登壇。短時間雇用として老人ホームのエアコン清掃で週2時間受け入れており、矢留社長は「働く人の特性や趣味に至るまで深く理解できれば、こんなに頑張ってくれる方々はいない」と話した。
また、ソフトバンクは19人が週1~2日、4~6時間勤務する「ショートタイムワーク制度」を報告。担当者は「勤務態度などは障害特性が影響することもあるため、勤務評価の基準には含めていない」などと話し、仕事の効率を上げる社内のさまざまな工夫を紹介した。