
電気自動車(EV)の普及を目指すベンチャー企業のシムドライブ(川崎市幸区)は27日、26社と共同開発した試作3号車を発表した。「スーパーカー」をコンセプトに、昨年完成した試作2号車よりも走行性能を高めた。スマートグリッド(次世代送電網)などの省エネルギーシステムにも対応した。
完成した3号車は、2人乗りのスポーツカー「SIM-CEL(シムセル)」。停止状態から100キロまでの加速時間は4・2秒とスーパーカー並みの加速性能を実現。1回の充電での航続距離は市販されているEVを上回る324キロと、2号車と同じ300キロ以上を達成した。
車体の軽量化を実現するため、外板は炭素樹脂を採用し、フレームにはパイプとモノコックを併用した。空気抵抗を抑える流線形のデザインでありながら、広い車内を実現した。
今回、自然エネルギーでEVを充電し、その電力をさまざまな用途に使うシステムを提案。「スマートトランスポーテーション」という新たな概念を掲げ、EVに充放電装置を搭載することで太陽光や風力発電の電力を家庭や外出先で活用できるとした。
3号車はニッパツや東京エレクトロンデバイス、積水ハウス、三井不動産など国内外の企業が参加した。
27日に都内で開かれた発表会見で、清水浩社長(慶大環境情報学部教授)は「加速、広さ、乗り心地、そして新しい付加価値を加えたことで商品として社会に受け入れてもらえる」。福武総一郎会長(ベネッセコーポレーション会長)は「(これからの)EVの先駆けとなる」と話した。
また来年3月完成を目指し、試作4号車の共同開発の始動も発表。東京アールアンドデーやカルソニックカンセイなど国内外14社が参加し、より安全に停止できる「4輪独立制御技術」を使ったEVを開発するとした。
【】