
横浜・元町のオリジナルバッグブランドを手掛ける「キタムラ」(横浜市中区)が、新たな販売戦略を進めている。昨秋、元町3丁目の既存店舗をリニューアルし、同社初となる洋服と靴中心の専門店をオープンした。開店から半年、新規顧客の取り込みに成功するなど、計画通りの好スタートを切っているという。
財布がメインの小物店だった「元町三丁目店」を10月1日に改装オープンした。約70平方メートルの店内では、ワンピースや春物コート、パンプスなどの靴を中心に、洋服のコンセプトに合ったバッグやハンカチなどもそろえている。
「いずれバッグはなくなる」。30年近く前、同社の北村宏社長は映画「スターウォーズ」シリーズを見た際、登場人物がバッグを手にしていないことからそう確信したという。加えて、働く女性の増加で容量の大きいタイプの需要が高まり「革などのおしゃれバッグが不要な時代になってきている」。バッグをめぐるこうした市場の変化に対応するためにも、洋服と靴の一層の注力を決めた。
新店舗の売れ筋は、ワンピース。季節ごとにシルエットやテイストを変えており、「ことしの春夏ものは港町・横浜をイメージし、風を感じるような軽やかなスタイルに仕上げている」と営業企画室の足立早里伊さんは話す。
開店以来、20~60代の幅広い世代が来店。これまでキタムラを利用したことがなかった若年層の来店にもつながっており、「初めて購入したキタムラ商品がお洋服というお客さまも増えてきた」(広報担当の辻桜さん)という。
三丁目店の売り上げはまだリニューアル前に及ばないが「あえて新たな挑戦をすることに意味がある」と北村社長は語る。ファッションのカジュアル化が進む中、キタムラのバッグに合うコーディネートの提案を強化していく考えだ。今後も需要を踏まえながら、同様の専門店を拡大していきたいとしている。