JR東日本や私鉄の駅で切符の自動券売機を撤去する動きが進んでいる。Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)などICカード乗車券の普及に伴い、切符を買う人が少なくなっているためだ。一方で、撤去した後の空きスペースには、金融機関が現金自動預払機(ATM)を設けるなど、人通りが多いことに目を付けた有効活用も進みつつある。
11月1日に開業した駅ビル「CIAL(シァル)鶴見」に直結するJR鶴見駅東口。リニューアルした改札口近くの券売機コーナーには、横浜銀行とみずほ銀行のATMが並んで設置された。
横浜銀によると、ATMはコンビニエンスストアにある小ぶりのサイズのもの。キャッシュカードで入出金や振り込みなどができるという。ATMの両側にはついたてがある。
横浜銀のATMで出金していた女性(73)は「定期券を買うのに便利な場所にできた。しかし、人が通るところでお金を引き出すのは落ち着かないね」と慣れない様子。金融機関側は「衆人環視の場所なので逆に安全ではないか」と説明する。
金融機関にとっては、人の流れが見込まれる場所に比較的安い賃料でATMを設置できるメリットがある。横浜銀は「別の駅でもいい場所があれば展開したい」(広報)とする。
JR東日本横浜支社によると、支社管内で券売機コーナーに金融機関がATMを設けるのは鶴見駅が初めて。券売機の撤去を進める一方で今後の展開は未定としているが、空きスペースで賃料収入が得られることから関心を寄せている。
県内に路線がある主要私鉄でも券売機の撤去を進めている。京急線横浜駅の中央改札前では空きスペースを利用した外貨両替の有人窓口が1日にオープンした。外貨両替業務を手掛けるトラベレックスジャパン(東京)が運営するもので、京浜急行電鉄は「横浜方面から羽田空港への直通列車を増便したのに合わせ、使い勝手の良い場所に店舗を開設することにした」(広報)と説明する。
小田急電鉄や東京急行電鉄も券売機を撤去しており、小田急は「券売機を置いていたスペースを有効利用したい」(広報)として活用法を検討している。
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