横須賀市の中心市街地にある老舗百貨店、さいか屋横須賀店の旧大通り館跡地で進められていた高層マンション開発計画が中止となったことが分かった。事業主体の住宅メーカー大手、一条工務店(東京)が19日、地元町会と商店街に説明した。商業施設と複合した大型分譲マンションを建設する計画だったが、東日本大震災後の原材料費高騰で採算維持が難しいと判断した。
計画地は2600平方メートルで、同社は転売せず当面は駐車場として活用する方針。現場は京急線横須賀中央駅前の大通りに面しており、敷地の活用法が定まらない状況が長引けば、課題となっている中心市街地の活性化にも影響を与えることになりそうだ。
同社によると、マンション計画は地上23階、地下1階建てで、上層部の約170戸を分譲。低層階は商業施設向けとする計画だった。来年夏から分譲を始め、2015年5月の完成を見込んでいた。
だが震災後の復興需要が増加したため建築資材の需給が逼迫(ひっぱく)し、原材料費が高騰していた。一条工務店は「積算費用が当初計画から7割増えた。販売価格に転嫁すれば市場に受け入れてもらえなくなる」としている。
さいか屋横須賀店の旧大通り館は、経営再建策の一環として10年5月に閉店。敷地が一条工務店に売却されていた。
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