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ケイエスピー会社創立30周年
無限の知恵を〈上〉 人材「成功をつかむ気概」

経済 | 神奈川新聞 | 2017年3月28日(火) 14:10

竹内倫樹学長の講義を聴く受講者=2010年7月、KSPビジネスイノベーションスクール
竹内倫樹学長の講義を聴く受講者=2010年7月、KSPビジネスイノベーションスクール

 2月20日、東京・永田町の首相官邸。第3回日本ベンチャー大賞・女性起業家賞(経済産業省など主催)を受賞した「ナノエッグ」(本社東京)の共同創業者で社長の山口葉子さんは、和服姿で安倍晋三首相と並びにこやかだった。

 山口さんは川崎市高津区坂戸にあるかながわサイエンスパーク(KSP)の中核事業主体ケイエスピー(内田裕久社長)が開講するKSPベンチャー・ビジネススクール(現KSPビジネスイノベーションスクール)の13期生。

 当時担当だった総務企画課長の長谷川章市さん(47)は、「山口さんが受講された2004年当時、半導体などのものづくり系から大学発、バイオ系へとベンチャー企業の流れが変わる時期でした」と振り返る。

 同社によると、当時山口さんは聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター(同市宮前区)の研究員で、「世界から注射針をなくしたい」という思いから、皮膚から患部に薬を直接浸透させるナノサイズのカプセル化製剤を実用化した。経皮吸収鎮痛剤などで使われる基礎技術の応用だ。

 山口さんは03年、科学技術振興機構(JST)のプレベンチャー事業に採択されたことをきっかけに、同スクールで04年5月から11月まで、共同創業者となる職場上司の五十嵐理慧さんら21人の同期生と一緒に財務、マーケティングなど経営の基礎を学び、修了時にビジネスプランを練り上げた。06年に県大学発ベンチャー創出促進モデルプロジェクトに採択され、「ナノエッグ社」を創業した。

 以来10年余、曲折を経てアンチエイジングケアなど機能性化粧品群を主力商品に、12年ジャパンベンチャーアワード中小企業長官賞、14年神奈川なでしこブランド第1回認定商品に選ばれ栄冠をつかんだ。「ぶれない信念と、場合により2歩、3歩ひく勇気も大切」と山口さん。

 「困難に直面した時に乗り切る気概と実践力のある人が生き残っている。そうした人材を育成支援したい」と長谷川さんは力説する。同スクールは25年間で受講生647人になった。4月から26期生を募る。

◇ 民活法適用第1号のリサーチ・パークKSPの中核事業主体ケイエスピーが、創立から30周年たった。「無限の知恵を持つ人材を育てよ」という岡崎嘉平太初代社長の言葉を原点に、「ものづくりからライフサイエンス」へ、時代の変化に挑む研究開発型の企業創業や人材の育成支援を続ける。その舞台裏を訪ねた。

 ◆株式会社ケイエスピー 1986年12月創立。民活法を活用して県・川崎市主導で池貝鉄工所溝の口工場跡地を再開発した研究開発型企業の創業支援拠点KSPの中核会社。入居114社、就業人口約3400人(2017年3月現在)。

 
 

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