経済波及効果を期待し、企業の研修や報奨旅行、学会など「MICE」を横浜市内に誘致する取り組みが加速している。地元のホテルや飲食店、商業施設などが結成した推進組織は今年で活動3年目。昨年は東日本大震災の影響によるキャンセルに見舞われたが、状況は改善。「まずは人を呼び込むことが大事」とエリアごとに連携を強め、それぞれの地域の魅力のアピールに努めている。
横浜観光コンベンション・ビューロー賛助会員でつくる「MICE都市・横浜推進部会」には現在約70社が参加。部会の下にはみなとみらい21(MM21)、山下町、新横浜、横浜駅周辺と、エリアごとに四つの分科会が組織されている。
6月下旬には旅行会社や学会関係者などを対象にしたMICE説明会を、同ビューローと共催。「横浜定番コース」「話題のコース」「再発見!横浜駅周辺コース」の三つを用意し、参加者約90人に、各施設を実際に見てもらった。
その後の全体説明会では4エリアの代表者が登壇。「300人規模の会議」という想定の下、各エリアにある会議スペースや宿泊施設、アフターコンベンションに最適なスポットなどをアピールした。
横浜駅周辺コースに参加したコンベンションの企画・運営会社の女性は「羽田や成田からも近い。雨にぬれず多くの施設を移動できるのも魅力」と話すなど、反応は上々の様子だった。
同ビューローによると、昨年、市内で開催された国際会議(3カ国・50人以上が参加)は182件、国内の全国規模の会議は191件だった。東日本大震災の影響でキャンセルされたケースもあったが、「今はほとんどない」と担当者。「今後、誘致に一層、力を入れたい」と意気込む。
「市内には中・小規模の会議やイベントが行える施設が数多くある。多彩な選択肢を提示し、エリアに呼び込んだ上で(企業間で)すみ分けを図ることができれば」と話すのは、同部会メンバーで、「横浜ステーションMICE会」の幹事を務める横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ。
長期的な課題として、国内最大級のコンベンション施設「パシフィコ横浜」からの誘客や、施設間の回遊性の向上などを指摘。「まずは連携企業の数を増やすことでエリアとしての魅力を高めたい」としている。
◆MICE(マイス)
会議、研修、セミナー(Meeting)、視察、報奨旅行(Incentive)、国際会議、学会(Convention)、展示会(Exhibition)などの総称。
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