1. ホーム
  2. ニュース
  3. 経済
  4. 県内有機農家が「循環型」維持に苦心、原発事故で消費者離れ/神奈川

県内有機農家が「循環型」維持に苦心、原発事故で消費者離れ/神奈川

経済 | 神奈川新聞 | 2012年3月29日(木) 22:11

堆肥として使う緑肥を育てる片柳さん=大和市上草柳
堆肥として使う緑肥を育てる片柳さん=大和市上草柳

東京電力福島第1原発事故で、「安全」に敏感な消費者が離れ、苦境に立たされる県内有機栽培農家。長い時間をかけて築いた循環型農法を守るため、汚染の心配がない堆肥原料を遠方から調達したり、県内を離れて新天地に移ったり、苦悩している。

「失うものはもうない」。大和市で消費者による共同オーナー制の有機栽培農場「なないろ畑」を営む片柳義春さん(54)の落胆は大きい。45歳から現農場を始めたが「9年間がすべてパー」だ。

近隣地域で調達していた堆肥原料は遠方から入手することに。米ぬかは長野県伊那市へ月1回買いに行く。落ち葉なども使えず、代用の輸入カカオ豆の殻を県内のチョコレート工場へ週1回3往復して買い付ける。地域での循環は崩れた。

調達に交通費、人件費がかさむ上、表面線量計購入費や仲間と共同利用する計測器の分担費。収穫した小麦は日本基準はクリアしたが、ドイツ基準の倍の数値が出て800キロ(30万円相当)を廃棄。100本の原木シイタケ20万円分も、関東で乾燥シイタケが基準値超えした時点で栽培をやめた。経済的に追い詰められ、心身も疲れ果てた。

だが、共に農場をつくってきた約80世帯のオーナーは離れなかった。

いまは畑で緑肥を育て堆肥にして放射能の絶対量を増やさず、パワーショベルで天地返しをして表土の放射線量を減らす。「本当は変則的な有機農業はやりたくない」が苦肉の策だ。

一方、消費者が離れて収入が激減した農家も続出。三浦市の「たかいく農園」もそんな農家の一つ。原発事故直後から売り上げが事故前の5分の1まで落ち込んでしまった。

経営する高梨清さん(43)、英子さん(47)夫妻は農薬と化学肥料の使用に違和感を抱き、4年前から無農薬無化学肥料の栽培をしてきた。

堆肥は、畑の野菜や客から受け入れた生ごみを発酵させる「持ち込ませず持ち出さない」小さな循環方式。「三浦は放射線量が低く野菜の安全性は問題ない」と夫妻は口をそろえるが、「生産意欲が減退した」と清さん。

事故から3カ月後に移転先を探し、三重県への移住を決意した。家や農地を安価に借りることができ、現金収入が少なくても、山で暖房用のまきを調達して自給自足の割合を増やして暮らすめどを付けた。

清さんは昨年2月に訪れた、山口県・祝島の中国電力上関原発建設工事の反対集会での島のお年寄りの言葉が心に残る。「海はみんなのもんじゃ」。自給自足に近い暮らしをしながら一貫して原発に反対する姿に「自然なくして生きていけないと教わった」。

それから20日後に起きた原発事故。生まれ育った三浦を離れることになったが、自然との共生を目指す姿勢は揺るがない。

【】

農薬に関するその他のニュース

経済に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング