15日の東京外国為替市場で一時1ドル=84円台まで円安ドル高が進んだことを受け、県内経済界では期待感が広がっている。輸出企業の比率が高い県内は、円高で競争力を失っている企業が少なくないためだ。原油など原材料費が高騰する懸念があるものの、先行き不透明感が強かっただけに「明るい兆し」として受け止めている。
輸出車の比率が生産台数の半分以上を占める日産車体(平塚市)。昨年からの超円高は価格競争力の低下を招いていた。「今までが行き過ぎていた。再び急激な円高という事態にならないように期待したい」と安堵(あんど)感を示した。
ばね大手ニッパツ(横浜市金沢区)も歓迎する。同社は「喜ばしいこと。ただ、(円安が)長期的なのかは分からないので、状況を見定めて対応したい」。
板金機械最大手アマダ(伊勢原市)は、1円円高になれば売上高で10億円の影響が出る。海外での現地生産を進めるが、国内から出荷する製品もある。「円安は大きなプラス。もう少し安くなってくれれば」(同社)と述べた。
日銀横浜支店の山田泰弘支店長は県内経済への影響について「(円安で輸出企業の)表情は緩んでいる。収益がよくなれば、止めていた設備の更新投資などが動き始める」とみる。
中小企業も好材料と受け止める。横浜市港北区の金型メーカーは受注が3割減ったままだが、回復への期待が増したという。社長は「これまでは回復の兆しが見えなかったが、少しは明るさが戻ってきた」と話した。
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