横浜市立大学大学院修士2年の石井航平さん(24)=東京都豊島区=が約200種類のトウガラシを、インターネットで販売する会社の起業を目指している。大学院でトウガラシの特性や遺伝子などを研究。種類の豊富さや効能の多様性など、その魅力を広く伝えたいと会社設立を考えついた。
同大学舞岡キャンパス(横浜市戸塚区)にある木原生物学研究所。敷地内に約3300平方メートルの畑が広がる。一角に、約10センチほどの紫色の実がなっていた。「ブドウの味がするトウガラシなんですよ」。石井さんは説明する。
今年2月。学生発のベンチャー企業の輩出を支援するコンテストで、応募したビジネスプランが奨励賞に選ばれた。
提案したのは、トウガラシセラー「CapsiBank(カプシ・バンク)」。トウガラシの学名・カプシカムから名付けた。畑で約200種類を栽培し、ネットで販売。使用方法や効能など、利用者の質問にも答える。将来的には、トウガラシをメーンの食材にした飲食店オープンを視野に入れている。
起業したいと思ったきっかけは、地域住民の一言だった。
昨年7月に開かれた研究所の公開イベントで、畑を見学した初老の男性がつぶやいた。「辛いのが駄目なんだよ」。辛さがほぼなく、代謝を活性化する種類もある。
男性に教えると、「そんなものがあるなんて」と喜んだ。「『赤くて辛い』だけがトウガラシではない。もっと知ってもらいたいと思った」。カプシ・バンクの構想を2週間ほどでまとめ上げた。
今春から人材派遣会社に入社するが、起業の夢は諦めていない。
「料理人や食品会社の人からアドバイスをもらったり、自分でも品種を改良したり、起業に向けて試行錯誤を続けたい」
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