湘南を起業の聖地にする─。そんな構想を掲げて異色のビジネスマンが走り出した。茨城県庁職員からベンチャー企業に転じ、現在は起業支援会社NERV(ネルフ、藤沢市)の社長を務める久野孝稔氏だ。大手製薬会社の部長職や慶応大学大学院特任助教の肩書も持つ多彩な実業家が、湘南の地で後進の育成に力を注ぐ理由を聞いた。(聞き手・武田 晃裕)

─起業家の現状に危機感を持っている、と。
「日本には起業家の数も、右腕として事業をサポートする人材も絶対的に少ない。ベンチャーの経験者と接する機会が乏しいので、起業の意思を持つ人が最初の一歩を踏み出しづらくなっている。その背中を押すと同時に、起業家が活動しやすい環境を整備したい」
─そこで昨年10月にネルフを設立した。