コロナを機に湘南エリアへの移住が増えている。特に働き盛りの会社員、子育て世代の動きが活発だ。なぜ移住に踏み切ったのか、なぜ湘南なのか─。現場を歩いた。
新型コロナウイルス禍が始まった2020年3月頃から土地探しを始めた。夫婦で都内の会社に勤めている会社員の福山裕司さん(34)は茅ケ崎市内に移住を決めた。
「まずは職場のある東京駅まで電車1本で通勤できる場所が条件でした。鎌倉や藤沢も検討したが、なだらかな地形が良かったので茅ケ崎市に絞って土地を探しました」
出身は都内だが県内の大学出身だったこともあり神奈川には縁があった。スキューバダイビングが趣味で海が好きなことや、妻の実家が西東京ということもあり、埼玉や千葉という選択肢はなかったという。
「年齢的にもそろそろ自宅を持ってもいいかな、と」
海と駅の間。条件に合った土地が見つかった。
都内からの移住は、そうしたいくつかの理由以上に、やはり勤務先でテレワークが導入され、「会社の近くに住む必要がなくなったから」(福山さん)だ。
通勤は今や、「週1回。同じ会社で働く妻に至っては1カ月に1度しか会社に行く必要がない」と、変化の大きさに笑いが漏れる。