決して目立たないが、動くモノには欠かせない部品のばね。その「世界トップメーカー」を掲げるのは、横浜市金沢区に本社を構えるニッパツだ。日本ばね工業会の会長も務める茅本隆司社長に、業界の現状や課題、自社の強みや成長戦略を聞いた。(聞き手・武田晃裕、細谷康介)
─ばね業界の現状は。
「ばねにはエアサスペンションに使う空気ばねなど数多くの種類がある。一般的な金属のばねでいえば、メーカー各社は『日本ばね工業会』に加盟していて、合計売上高は約3千億円。かつては4千億円強あったとはいえ、直近10年間はほぼ変わっていない」
「加盟社数も横ばいが続く。ただし各社の規模をみると、従業員4人以上の業者は国内に約500社あるが、300人以上はたった10社ほどに絞られる。約3千億円という産業規模から考えると、今後はどうしても『生き残り』という課題が付きまとうだろう」
─足元の課題は。