「未曽有の売り手市場だったが、新型コロナウイルス禍で一転した」
新卒採用を巡る動きについて、リクルート(東京都)の研究機関「就職みらい研究所」の増本全所長は、そう指摘する。
近年、新卒採用は人手不足を背景に学生優位の「売り手市場」が続いていた。リクルートワークス研究所の調査によると、リーマン・ショックの影響で大卒の求人倍率は2008年卒の2・14倍から12年卒の1・23倍へと大幅に落ち込んだ。しかし翌年から7年連続で上昇し19年卒は1・88倍、20年卒も1・83倍と高水準を維持していた。
だが、新型コロナウイルス感染拡大が状況を一変させた。その影響を最初に受ける形となったのが21年卒の学生たちで、求人倍率は1・53倍(20年6月時点)と、前年から0・3ポイント低下した。
増本所長は一方で、こう力を込める。「注目すべきは、すべての産業が採用を減らしたわけではない点。(採用意欲は)業界によってばらつきがある」
コロナ禍での業績の好不調が、採用計画に影響を与えていると指摘した。