中小企業にとって、事業承継は避けては通れない道だ。手塩にかけて育てた会社を手放す経営者、その意志を引き継ぐ後継者、仲介役の第三者。それぞれの視点から課題に迫る。
父親から継いだ家業を守るために手を尽くした。だから、引き際は潔い。
「『ローレルクリーニング』はいつか消えゆく運命にあった。ここが潮時だなと」
店舗の運営を担う東日本商事(平塚市)の社長、真壁正彦(47)は昨年半ば、クリーニング事業の譲渡を決めた。
創業者の先代が死去し、トップに就いたのは15年ほど前。当時、県内を中心に500店以上を展開する「ローレル」ブランドは抜群の知名度を誇った。
だが、次第に逆風が強まっていく。