中小企業にとって、事業承継は避けては通れない道だ。手塩にかけて育てた会社を手放す経営者、その意志を引き継ぐ後継者、仲介役の第三者。それぞれの視点から課題に迫る。
これまでとは逆パターンの提案が舞い込んだのは、昨秋のことだった。
「売却先を探している県内企業がありまして」
企業の合併・買収(M&A)の仲介ビジネスを手掛ける企業の担当者は、そう告げたという。
建設会社の建翔(横浜市中区)は過去に、この企業経由で「御社を買いたい」と持ち掛けられたことがある。思いがけない展開に、社長の清水泰孝(53)は説明を促した。聞けば聞くほど、直感が働く。
「渡りに船だ」
事業承継(3)難航極める条件交渉
3月にオープンした美容室に立つ外山紘士。「介護施設利用者におしゃれを楽しんでもらう場にしたい」と話す=横浜市鶴見区矢向4丁目 [写真番号:583422]