東日本大震災の発生から10年。震災をきっかけに、企業の意識が変わった。変化した経営の視座を探る。

東日本大震災を契機に企業の注目を集めた「事業継続計画(BCP)」。その根幹を成すのは、オフィスビルの防災対応力だ。社員が常駐し、有事の際には司令塔となる拠点をいかに守るか。最新の動向を探った。
「先ほどの地震で火災が発生しました」
超高層オフィスビルの防災センターを再現した一室に、警報音が鳴り響く。壁面のモニター画面に赤い印がともり、停電の発生を知らせる。揺れを感知したエレベーターが一斉に地上階へ向かう。
担当者が説明する。
「こうしたシミュレーション訓練は既存のビルでは難しい。ここでは常に実践でき、対応力を養える」