大企業の海外事業部勤務が父親の急死で一転、36歳で経営を引き継いだ中小企業の負債は40億円─。何度も窮地を乗り越え、倒産寸前の会社を再生し完済した、大船の「海鮮居酒家 七福水産」などを経営するユサワフードシステム(鎌倉市)の湯澤剛社長。新型コロナウイルス感染拡大の逆境にあっても確信している。「今つらくても、いつか必ず『あんな苦しいときがあったな』という日はくる」と。
─12月は稼ぎ時だが。
「極めて厳しい。居酒屋は12月の利益で乗り切っていく構造があるが、宴会が全く入ってこない。本当につらいのは『営業していていいのか』という疑心暗鬼。だって明らかに密。アルコールが入ればやっぱりマスクを外し、大声で盛り上がってしまう。客観的に見てリスクが高いと思うのが正直なところだ。それでもやらざるを得ない。リーマン・ショックなどとは違って、後ろめたさが残る、というのが結構大きい」
「上場会社に10店舗売却した経緯もあり、実質2店舗で社員が18人。すごく多く、本当は半分でいい。雇用調整助成金がなくなったらアウトだ。社員が路頭に迷わないよう(同助成金特例措置延長期限の)2月末までにもう1店舗出店するため物件を探している。守りの経営だが、人件費が出れば御の字」
─厳しい状況下で経営者に大事なことは。