
未知のウイルスは私たちの働き方を大きく変えた。多くの企業にとって「テレワーク元年」となった2020年。働き方改革は突如として転換点を迎えた。だが、その機運は当初の盛り上がりを欠く。一過性で終わらせないために、企業の覚悟が問われている。
目の前の光景に潮目の変化を痛感した。
緊急事態宣言の対象が全国に拡大された4月16日。取材で東京・丸の内に立ち寄った。
平日のランチタイムにもかかわらず、日本を代表するビジネス街に人影はほとんど見当たらない。マスク姿の男女が時折、足早に立ち去っていく。その様子はまるで、「そこにいること」に引け目を感じているように映った。
政府はこの月、先行して緊急事態宣言を出した神奈川など7都府県の全事業者に対して「在宅勤務」の原則化を要請。出勤者を最低でも7割減らすという具体的な数値まで示して、テレワークの早期実施を迫っていた。
通勤という移動を控えれば、感染リスクは軽減できる。前代未聞の事態とあって、企業は対応を急いだ。この頃を境に、取材方法は非対面へと切り替わっていく。
「テレワーク元年」 働き方改革の転換点
富士ソフトが仮想空間に設けたオフィス。テレワーク中の社員同士が互いの勤務状況を把握しやすいよう、自由に書き込める「吹き出し」も用意した [写真番号:460436]