国内総生産(GDP)が戦後最悪のマイナス成長となる見込みの2020年。地域経済を支える金融機関もまた厳しい経営環境に置かれている。横浜商工会議所副会頭で、横浜信用金庫の大前茂理事長に、現在の景況や経済環境、地域金融が担うべき役割とその変化について聞いた。
─現状をどうみる。
「当信用金庫での調査でも、景況感(「良い」から「悪い」を引いた指数)は4~6月はマイナス53、7~9月でマイナス44だった。10~12月の見通しを聞くとマイナス37だった。わずかに改善しているものの、極めて大きな落ち込みであり、水準はとても低い」
「08年のリーマン・ショックを超える低さだ。あのときは金融危機から始まったが、今回は足元の実体経済が急激に冷え込んだ。特に、陸運、小売り、宿泊、飲食、生活関連サービス、娯楽、医療・福祉が大きな影響を受けている。中でも横浜市内の観光業界はインバウンド(訪日外国人客)需要がなくなり、大きなダメージとなっている」
─厳しい経済情勢だが、金融緩和によって融資が行き渡り、倒産件数は少ない。