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アベノミクスの功罪
継承(3)実感乏しい景気回復 株高に隠れた低成長

経済 | 神奈川新聞 | 2020年9月26日(土) 05:00

 安倍晋三首相が政権を奪還し、「アベノミクス」がスタートして丸2年たった2014年12月。自民党が衆院選のパンフレットで掲げた字句は「景気回復 この道しかない」だった。

 邁進(まいしん)した「この道」の先に果たしてどれほどの景気回復があったのか。

 金融緩和、財政政策、成長戦略の「三本の矢」を柱とするアベノミクスは当初、13年のスタートから2年後には年率で2%の物価上昇を目指していた。国内総生産(GDP)成長率の目標は名目で年率3%、実質で2%を据えた。しかし好調だったのは初年の13年だけで、14年以降は目標との乖離(かいり)が鮮明になっていった。

実質GDPの水準と成長率の推移

 四半期ベースの実質GDP成長率を見ても、1%を超えたのは13~15年、17年のそれぞれ1~3月期だけ。株高でもてはやされたアベノミクスだが、実際は1%に満たない低成長とマイナスを繰り返し、19年の下期からはゼロからマイナス成長へと転じた。

 GDPの過半を占める個人消費を見ると、戦後最長記録を維持した「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の実質個人消費は、平均で前年比1%増を達成していた。一方、アベノミクスの期間中(12年12月~18年10月)は0・4%増にすぎない。

 マクロ経済に詳しい浜銀総合研究所の北田英治上席主任研究員は「景気回復のスピードは非常に緩やかなものにとどまり、回復実感の乏しいものとなった」と総括する。

「第3の矢」奏功せず

 アベノミクスのエンジンとも言うべき「異次元の金融緩和」(第1の矢)によって市場にはマネーが行き渡り、金利はゼロへと突き進んだ。

 日銀が上場投資信託(ETF)を大量購入し続けたことで株式市場は安定的に値上がりを続け、日経平均株価はアベノミクス前と比べ約2・2倍にまで膨れ上がった。1ドル85円程度だった円相場は円安に振れ、輸出系企業を中心に業績は上向いた。こうして企業の内部留保は過去最高を更新していった。

 それでもなお底堅い景気回復に裏打ちされた経済成長は実現しなかった。

 なぜか。

 
 

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