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服部宏のシネマパラダイス
息をのむ過激なエロチシズム 「お嬢さん」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2017年3月9日(木) 13:23

(C)2016 CJ E&M CORPORATION,MOHO FILM,YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED
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 「オールド・ボーイ」の巨匠パク・チャヌク監督の「お嬢さん」のエロチシズムに息をのんだ。最近、これほど濃厚、過激な(それも女性同士の)ぬれ場を見た記憶がない。

 1939年、日本統治下の朝鮮半島。盗賊に育てられた孤児スッキ(キム・テリ)=写真左=は、藤原伯爵と名乗る詐欺師(ハ・ジョンウ)の計略によって、日本人の富豪・上月(こうづき)(チョ・ジヌン)の家の侍女になる。藤原の狙いは上月の膨大な財産だ。

 上月家には財産の相続権を持つ令嬢・秀子(キム・ミニ)=同右=がいる。スッキが秀子と藤原を近づけ、2人を結婚させる手はずだった。ところが、美しく寂しげな深窓の令嬢にスッキが魅せられ、秀子も献身的なスッキを愛するようになって、策略が狂い始める。

 令嬢、侍女、詐欺師、富豪の思惑とだまし合い。何が真実か。その愛は偽りか。スッキの視点で描く1部が、秀子の視点に移る2部では全く違う貌(かお)を見せる。第3部では、さらなる意外性が。

 重厚・華麗なセット、小道具、衣装。江戸川乱歩の世界を思わせる淫靡(いんび)な仕掛け。秀子とスッキの激しいからみは、こちらの心拍数が上がるほどの大胆さ。2人の吐息、秀子の奥歯をスッキが銀の指ぬきで削る音、浴槽に浮かぶバラの“香り”を感じさせるなど、繊細な演出が五感を刺激する。

 最大の見どころは、秀子の素顔が明かされる過程。か弱く見えて、したたか。純粋のようでいて、快楽をむさぼる。性のおもちゃにされて育ちながら、最後にはそれを武器に男どもを手玉に取る。絢爛(けんらん)たる意匠を凝らした復讐(ふくしゅう)劇は、いかにもチャヌク監督好み。

 2時間25分。TOHOシネマズ上大岡、同・川崎ほかで上映中。「R18」指定。

 
 
 

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