国内第1号の米兵向けクラブができた。東洋一と言われる進駐軍のEMクラブがあった。街を歩けば、ジャズが聞こえた。戦後ジャズの原点と言われる横須賀市で3、4日、街全体をジャズが彩る「ヨコスカトモダチJAZZ」が開催される。プロアマ合わせ、約400人のプレーヤーが集結して音をかき鳴らす。
◆最盛期124店
終戦間もない1945年9月。田浦にあった海軍兵舎が国内初の米兵クラブになった。敵国文化として禁止されていたジャズのリズムが再び鳴り出した。復員した旧陸海軍の軍楽隊員が、生きるために楽器を持って横須賀を目指した。生演奏を聞かせる店は、最盛期には124軒を数えた。
その頂点にあったのが、本町にあった進駐軍クラブだった。横浜や都内のそれをしのぎ、東洋一ともてはやされた。慰問と称し、ルイ・アームストロング、フランク・シナトラらが来日した。渡辺貞夫、秋吉敏子さんら日本の一流どころもステージに立っていた。
だが、90年には進駐軍クラブも解体。「ジャズの街」の空気は薄れていった。「このままではその歴史、記憶がなくなってしまう」。無形の遺産を後世に伝え、さらに町おこしにもつなげようと、有志が昨年12月にヨコスカ・ジャズ協会を設立。今回のイベントへとつなげた。
代表理事の長坂利広さん(50)は「横須賀は戦後ジャズの隆盛の地、そして文化の発信地だったのに、いつの間にかジャズが市民生活から遠いものになってしまった。今回のイベントを機に気軽に触れてもらい、その歴史や魅力を知ってほしい」と話した。
両日ともに正午~午後8時半。汐入からどぶ板通り、横須賀中央周辺の路上やライブハウス、バーなど12会場ほどが設けられる。パスポート制のチケットは2日間共通のみで前売り5千円、当日6千円(ともにドリンククーポン2枚付き)。問い合わせは、実行委員会電話080(4473)0550。