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服部宏のシネマパラダイス
少年と日系人の対立と和解 「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2016年9月1日(木) 09:47

(C)2014 Little Boy Production, LLC.All Rights Reserved.
(C)2014 Little Boy Production, LLC.All Rights Reserved.

 メキシコ出身のアレハンドロ・モンテベルデ製作・脚本・監督「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」は、戦時下アメリカの少年と日系人を通して、憎しみを愛に変える“壮大なおとぎ話”を紡ぐ。

 カリフォルニア州の漁村。ペッパー(ジェイコブ・サルバーティ)は背が低く、みんなにリトル・ボーイと呼ばれている。父ジェイムズ(マイケル・ラパポート)は日本軍と戦うべく出征した。

 ある日、収容所から釈放された日系人ハシモト(ケイリーヒロユキ・タガワ)が現れる。敵意むき出しのペッパー。やがて広島に原爆が投下され、町は沸き立つ。原爆の愛称はリトル・ボーイだった。

 父が自分の代わりに入隊したことで苦しむペッパーの兄。日本軍の真珠湾奇襲で息子を亡くし、ハシモトに敵対する町の男。戦争が引き起こしたさまざまな葛藤が描かれるが、軸はペッパーとハシモトだ。

 外国映画に登場する日本人や日系人に失笑することは多いが、ハシモトはきちんと描かれている。42年間アメリカに住み、この国が好きなのに「ジャップ」と軽蔑されるのは戦争のせいだ…。タガワの抑えた演技が渋いが、日系人の造形は移民という監督の出自と無関係ではあるまい。

 「心に憎しみがあると願いはかなわない」という司祭の言葉がペッパーを変える。海辺のベンチに座るペッパーとハシモトの後ろ姿を、夕日の中にとらえたショットが美しい。

 原爆の描写にも、監督の誠実さを感じた。ペッパーは自分と同じ名前の爆弾で大勢の人が死んだと思い、悪夢を見る。そのイメージは、米映画にはかつてないほど深刻だ。

 さて、父は生還するだろうか。

 1時間46分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷・ユーロスペースで上映中。10日から横浜のシネマ・ジャック&ベティでも。

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