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服部宏のシネマパラダイス
大竹しのぶ“七変化”の快演 「後妻業の女」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2016年8月25日(木) 09:33

(C)2016「後妻業の女」製作委員会
(C)2016「後妻業の女」製作委員会

 高齢社会のあだ花か、この“商売”。「後妻業の女」は老人の後妻になっては財産をさらってゆく結婚詐欺師の話。テンポのいい演出とユーモラスな味付けに、大竹しのぶの快演が加わって飽きない。

 小夜子(大竹)=写真左=は柏木(豊川悦司)=同右=が経営する結婚相談所のすご腕会員。うそ八百と色仕掛けで8人と結婚、その都度、夫は不審な死を遂げている。

 全ては小夜子と柏木の仕業。中瀬(津川雅彦)も、その毒牙にかかったが、遺産を独り占めしようとする小夜子に中瀬の娘・朋美(尾野真千子)が猛反発。裏社会の探偵(永瀬正敏)を雇って、小夜子たちの悪事を暴こうとする。

 ほかに長谷川京子、余貴美子、笑福亭鶴瓶ら。直木賞作家・黒川博行の原作を「愛の流刑地」の鶴橋康夫が脚本化、監督した。

 「武内小夜子、63歳。好きなことは読書と夜空を見上げること…。私、尽くすタイプやと思います」

 しおらしい自己紹介に始まり、時に色っぽく、時にすごみを利かせ、時に哀れを誘う“七変化”。鼻歌を歌いつつ、夫の息の根を止める。微妙な目つきなど、大竹が憎たらしいほどうまい。

 おぞましい内容だが、基調はからっとした喜劇仕立て。アンチヒロインの小夜子が、あまりにも堂々と生き生きとしていて、いっそ、あっぱれに見えてしまう。

 一筋縄ではいかない欲と欲。それぞれの言い分をしっかり書き込んだ脚本が、脇役まで存在感を与えた。小夜子と朋美の取っ組み合いは、俳優が本気モードで迫力十分。

 単純な勧善懲悪を超え、1人では生きられない人間の弱さ、愚かさ、いとおしさがにじむ。似たような事件、現実にありましたよね。

 2時間8分。27日、全国公開。

 
 

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