
江戸後期から続くとされ、端午の節句を祝う座間市の伝統行事「座間の大凧(おおだこ)まつり」で揚げる大凧が、本番を待つ。ことし大空に浮かべる文字は「凱(がい)風(ふう)」。子どもからお年寄りまで、市民が成功を願って書き入れた。
4月16日夜、市立座間小学校の体育館に102畳(13メートル四方)の和紙が並べられた。副市長の小俣博さん(71)が背丈ほどある木炭の特製筆で、大胆に文字を縁取っていく。この道40年、下書きはなしだ。
保存会の若手がじっと見つめる。その一人、吉田光慶(てるやす)さん(43)は「職人芸のような技術をいつか受け継げるよう、目で盗みたい」。
文字はあえてはみ出すように配置し、跳ねとかすれを強調する。「子どもたちに枠に収まらず、力強く育ってほしいから」と小俣さん。体育館のギャラリーから全体を見下ろして構図を整え、下準備が完成した。
配色は伝統を守る。右上の「凱」は太陽を表す赤色、左下の「風」は大地を表す緑色。市内の子どもたちがはけで塗り重ねていき、保存会の大人が手伝った。座間小学校5年の男児(10)は全体を見渡し、「これが飛ぶの」と驚いた。
大凧は総重量1トンに達し、本番では100人余りで引き揚げる。実行委員長の近藤昭夫さん(72)は「大凧は大胆でありながら、緻密な技術で成り立っている。重量と強度の釣り合いが成功の鍵」と話した。
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大凧まつりは4、5の両日、座架依(ざかえ)橋北側の相模川グラウンドで開かれる。午前10時~午後4時。大凧は午前11時半ごろから登場する見込み。
実行委員会は両日とも、小田急線相武台前駅と会場を往復するシャトルバスを20分間隔で運行する。協力金は200円。両日とも荒天時は中止される。問い合わせは、座間市電話046(255)1111。